現実にあるちょっとマイナーなジャンルの漫画を書くのが非常にうまい。「帯をギュッとね!」の柔道から、今度はさらにマイナー(と私は思う)な競艇。あまりその分野に興味のない人でもおもわず引き込まれてしまう語り口はみごと。取材のうまさと、それを作品にするうまさ、両方がある。
キャラクターも、日常のちょっとした会話が楽しい。なんてことのないやりとり。こういう楽しさはゆうきまさみに近いものがある。
「モンキーターン」
競艇が舞台。とにかくこれを読むだけで競艇のことがわかった気になる。「ボートは膝で固定して乗る」とか、「全速ターンのハンドルの入れ方」といった記述が実に実感を持って伝わってくる。
波多野のキャラクターもいい。頑固な豆腐屋の親父を持つ彼が、ある意味妙に「いい子」で面白い。
「帯をギュッとね!」
柔道が舞台。柔道をするキャラクターとして、「かわいい女の子」を持ち込んだのは初めてではなかろうか? といってもこの作者、露骨なラブコメは禁じ手としているようで、それには好感が持てる。
この漫画ではまだ、「巧の無茶な強さ」といった、現実としての柔道、より「漫画」が正面にでるきらいがあったが、それはそれとして面白い。女の子の声援で寝技解くなよ。無理があるぞ。