貞本義行

なにはなくともエヴァンゲリオンです。

新世紀エヴァンゲリオン

 いわずとしれた有名アニメの漫画版。アニメ放映の半年前から連載スタート。とはいっても月刊誌(エース)、さくっとアニメに追い越され、今となっては「セカンドインパクト(2015年)までにおわるのか」という始末。とはいえ、その内容はすばらしく、待つに値する作品といえる。アニメを知らない人にとって面白いのか? というのはよく分からない。むずかしいところ。僕はアニメを先に見たし。

 ストーリー進行自体はアニメと同じだが、人物の描写に差がかなりあって、なかなか楽しめる。有名なところでは、最初にエヴァンゲリオンに乗るシンジが、アニメでは「逃げちゃ駄目だ」といい続けるのにたいし、漫画ではこの台詞をいっさい言わない。

 論理的には漫画版の方が正しいと思う。父に会わず10年を親戚の家で過ごしてきたシンジに、「逃げちゃ駄目だ」という強迫観念を抱かせるのはなかなか難しいから。まあ、アニメを見ているときは、あれはあれで演出で納得させられるんですけどね。

 あと、印象的だったのは、「たぶん綾波には 僕よりもっと何もない」というモノローグ。アニメのシンジは、こういう思いをはっきりとした言葉で表せず、とまどうだけだったような気がする。

 個人的にすっごく気に入ったのが4巻。アスカがとにかくいい。実に中学生らしい。アニメと違って、子供子供していて、それがリアルです(あ、あくまで虚構の上でのリアルです)。アニメを知らなくてもそれなりに、知っているとトンでもなく面白い 。

 『ちょっと評論めいたこと。ヤシマ作戦での綾波がはっきり笑ってしまうと綾波はそこで「終わってしまう」から微妙なほほえみにしたという。が、アニメではそのあと何もなかった。だからはっきり笑っていてもよさそう。さて。 どうする貞本。』という文章を前に書いたのだが、4巻を見ると期待させてくれる物がある。

 そう、もう一つ仮題がある。4巻、またその次の1話(エース掲載)と、どうみてもアスカの精神状態はいい方向に向かっている。これをいったん、壊してしまわないといけない。はたして、漫画という媒体で、うまくアスカを壊せるのだろうか。あるいは…こわさない…という道もある。これも興味深い。

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