introduction.

2002/01/10

<親指シフトとは>

日常、日本語でメールを書く人に、無理なく薦めることが出来る日本語(かな)の入力方法です。さらに、日常、日本語で文章を書く人には強く推奨することが出来ます。日常、英語でメールを書く人にとってのDVORAK配列のようなもの、といっても良いでしょう。

親指シフトという名前のとおり、親指で押すシフトキーが最大の特徴です。2つある「親指キー」と普通のキーを「同時押し」することで、1つのキーで2〜3つの文字を入力します。「同時押し」といっても、シフトキーやコントロールキーのように、「シフトキーを押しながらもうひとつのキーを押す」のではなく、「文字通り親指シフトキーともう一つのキーを同時に押す」のです。ですから、ちょっと慣れれば仮名配列の「ゃゅょ」のように入力に時間がかかることはありません。

<何がよいか>

なんと言っても「疲れない」ことです。入力するキーの数はローマ字の60%程度ですし、かな入力のように小指が駆使されることはありません。

また、多くの人はローマ字や仮名入力より速く入力することができるでしょう。少なくとも、かなで分速300文字くらいまでの早さになる分には親指シフトに分があります。

親指シフトの本質からははずれる話ですが、Backspaceキーが":"の位置に配置されています。ある程度入力ミスがある場合は、とても便利な配置です。

<何が悪いか>

なんといっても、「十本指がかならず必要である」ということです。過度な同時押しを前提とする親指シフトで、タッチタイプを行わないで入力するには絶望的です。

なれるまでの敷居を高くしてしまうのはあまり問題だと思っていません。どんな配列であれタッチタイプは拾得しておいたほうが良いと思いますので。

困るのは、片手にひょいと数文字入力する、というアクションがが気軽に出来ないこと。突き指などをするとローマ字や仮名のそれと比べて、絶望的に入力しにくくなることです。また、手に障害のある方は、一時的にも利用することは難解です。

もう一つ、標準では入力方法が用意されていないことです。これはローマ字/仮名以外のすべての入力方法に当てはまることですが、何らかの形で自力で入力手段を手に入れる必要があります。

それでも、「疲れない」というメリットの方が上回ると思います。また、主観的な感覚も混ざりますが、「打っていて楽しい、気持ちよく打てる」と思う人は少なくありません。私もその一人です。

<利用方法>

親指シフト(NICOLA)をパソコンで使おう!を読んでいただければ十分かと思いますが、下記の3つの方法があります。

1.キーボードはそのままで、ソフトウェアでエミュレートをする

Windows環境では親指ひゅん、Q's Nikolatter、姫踊子草などを使うことができます。OSを選びますが、気楽に試すことが出来るのが最大のメリットです。キーボードによってはかなり無理な格好で入力することになるので、「楽である」というメリットが100%生かされないことがあります。

2.専用に設計されたキーボードで、ソフトウェアでエミュレートする

現在、富士通より2種類のUSBキーボードが発売されています。
http://software.fujitsu.com/jp/japanist/relation.html

実体は配置がちょっと違う109キーボードです。初期コストがある程度かかりますが、メーカ保証が得られます。

メーカ保証の得られる使い方がJapanist(エミュレータ機能付き日本語変換IME)と併用しかありません。ですが、1.と同じようにメーカ保証を抜きにすればATOKを使用することができます。

また、現時点で発売されているキーボードの質は正直いまひとつです。良くできた106キーボード、あるいは101キーボードにくらべるとはっきり劣ります。さらに、コンパクトキーボードでスペースキーを多用する必要がある場合、キーボードレイアウト変更ソフトの使用がほぼ必須です。

3.ハードウェアレベルで設計されたキーボードで、専用のキーボードドライバを使ってエミュレートする

現在まともに生産されているのはKB-611のみです。R-Boardという逸品がありましたが、すでに生産中止され、在庫限りの販売となっています。→リュウド・ホームページ REUDO WEB SITE

初期コストがさらにかかること、専用ドライバを使うことから敷居はやや高めです。

<で、どれを推奨するの?>

「お金をかけないと練習する気になれない」という向きにはキーボードを買うことをおすすめします。生産中止というリスクはありますが、一番のおすすめはR-board。そうでなければKB-231でしょうか。

ただ、練習する意欲があるのでしたら、現在使っているキーボードのままでかまわないと考えています。

表にしてみました。
親指 キー配列変更 日本語変換 問題
ふつうのPS2キー 親指ひゅん
Q'sNicolatter
姫踊子草(95/98/Me)
Japanist
猫まねき
KeyLay
Mayu
何でもOK もともと親指シフト用に設計されていないため、ハードウェアとして最適とは言い難い
KB211 専用ドライバ ほぼ不可能
Altimeが機能することもある
「モードずれ」に悩まされがちである。
KB611 専用ドライバ できるらしい 何でもOK、特殊文字をだすならOAK(Japanist) 基本的にはキー配列の変更ができない
R-Board 専用ドライバ 専用ユーティリティ 既に製造中止、高い
KB231 or コンパクト 親指ひゅん
Q'sNicolatter
姫踊子草
Japanist
猫まねき(95/98/Meのみ)
KeyLay(2000/XP可)
Mayu
メーカ保証が必要ならjapanistのみ。 USBキーボードなので、windowsXPのキー配列変更に制限あり

機械的にはいまひとつなキーボード