エイプリルフールである。世界の名だたるメディアがこぞって参加する、さあ、みんなうそをついてだまそう、というバカ企画である。残念なことに日本のメディアはほとんど参加しないが、WEBサイトではここ数年、活発に行われている活動である。
しかし、これほどまでに有名な行事であるというのに、ギリシャ神話に基づく由来は残念なことに全く知られていない。時は紀元前遙か昔、アプリルムという村の話である。
アプリルム(APERYLM)というのは村の神の名前であった。人によく似た姿であったが、背中はひどく曲がっていて、それでも5メートルくらいの大きさがあった。背筋をのばせば8メートルくらいのサイズになったであろう。体中に毛が生えていて、遠目で見ると木のように見えた。一言で言えば大猿である。いまの神の分類で言えばハヌマン(猿神)一族ということになるのであろう。
ところで、この時代はまだ、「生け贄」というのが一般的な風習であった。この村でも例外ではない。毎年、若い娘をアプリルムに差し出していた。毎年毎年、新たな悲劇の種を植え続けていたのである。
ただでさえ生け贄なんて捧げる家族や本人にとっては納得がいかない。しかも、アプリルムは馬鹿に見えた。神様なのに馬鹿なことをする。馬鹿だから馬鹿なことをして怒り狂う。
ある時村の民は思った。「馬鹿に馬鹿を捧げよう」。最初は、種籾を食ってしまった大馬鹿が満場一致で選ばれた。次の年は、マジックマッシュルームの鍋をふるまった馬鹿であった。最初のうちは順調に馬鹿が死んでいった。
そして、村から馬鹿が減るにつれ、「馬鹿さがし」が始まった。民どうしのだましあいがはじまったのである。「こんなことにだまされる馬鹿」を探すために。
そして、アプリルムに生け贄を捧げていた月がいまのエイプリル、4月なのである。
4月1日にだまされた馬鹿よ、あなたは神の子だ。