第41回「それは夕立のように」(99.05.31)
それはいつもいきなりやってくる。
躍動するマッチョマンの集団。
踊る筋肉オーケストラ。食事の基本は増えるワカメとケンミンの焼きビーフン、
理想は紺のハイソックス、本音は白のルーズソックス、
虹野沙樹の応援があれば他に何もいらない、
「よっこらしょ」なんていう軟弱な言葉とは無縁の連中だ。
彼らはすでに人間以外のものにメタモルフォーゼしている。
そんなビルダーの彼らとの宴会である。
彼らの会話につきあうと10年は年をとった気分になる。
彼らは「隣の家に囲いが出来たってねえ。ブロック!」というネタで
10分も持たせることができるのだ。その10分で確実に
年をとった気分になれる。
その光景はさながら地獄絵図のようであった。
夢落ちにしてしまいたいのはやまやまだが、これは現実の光景である。
「さっき殺気を感じた幹事さん! 酒!」
「だはははは」
まるでサボテンを掴み取りしているような感覚だ。
やけになりながら「がってんしょうちのすけ!」といいつつ注文に走る。
とにかく今日、このように私は生きている!
そう。私は幹事なのであった。むやみにハイになった私の様は、
さながら叙情的で情緒不安定な夜の蝶のようであっただろう
(ヘルマン・ヘッセ詩集より)。
「コムタン(牛テールのスープ)です」
「え?食べたことないよ」
「モグタンなんてたべるの?」
「富士川を境にして西の田舎ものが食べたことないのは当たり前だのクラッカー」
「くしゅっ。誰か噂してるのかな。風邪引いたのかな。」
「風の谷のナウマン象」
「きもちわるい。ぞーっ」
…翌日。全てに疲れ切った私は、一日布団の中で悪夢にうなされていた。
眠っても、眠っても、まだ眠い。
閑話休題。
雑文書きはみんなうそつきと言われるが、ときどき全部鵜呑みにして
しまう、ツチノコのようににわかには信じがたいほどかわいらしいメールが
くることがある。そういうときは脱兎の如く真実を教えてしまうのだが、
そんなのも、ちょっとわるくない。
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