第47回 引き金

人が死ぬ。
実感できない。
あるとき、
全く関係ない瞬間に、
悲しみがわき出す。
これは感動の王道パターンだ。
少なくとも、私にはそうである。
とにかく、上記のエッセンスには、深く共感してしまう。
膝の力が抜けていく感覚が、リアルに想像できる。
初めてこのパターンにふれたのは村上春樹だっただろうか。
友人が死んだ。
もう3年を越える。
海外で亡くなった、らしい。
ひとりではまず行かない吉野屋で、並に七味を振りかけていて、突然思い出した。
妙にハイテンションだった夜、出かけて食べたのを。
夏の夜だった。
そこで、牛丼をおもむろに食べはじめてしまうところが
現実の悲しさなんだろう。
相変わらず旨くなかった。

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