おもしろすぎる名前に生まれてしまった人はたくさんいる。大場加奈子さんなどだ。1回でも発音してみなかっだのだろうか。これは、犯罪的だと想うんだけどなあ。宇宙(こすも)とか、伽沙凛(きゃさりん)並に。まあしかし、そういう名前に生まれついてしまった人は、もの語ごろつく頃から「そういうものだ」という諦念が生まれる。
が、しかし。もう一つのパターンがある。後天的におもしろくなってしまった人だ。芸能人と同じ名前に成ってしまうパターンが一番一般的であろうか。犯罪者がいちばんつらいであろう。アサハラ君とか。
私の場合は漫画であった。サッカーでキーパーをさせられたことがある、といえば私の名字がわかるだろうか。キャプテン翼よ、おまえの恨みは忘れない。ボールなんか大っきらいだ。何がト・モ・ダ・チだっ(夕日に向かって走る)。
しかし、近年の大ヒットといえばやはり松本潔君であろう。なにしろあのコマーシャル量。ネタにも事欠かない。彼は哀れであった。最初のうちはまだ良かった。薬がネタになることはそれほど頻度が高くない。しかし。
「ここにもマツモトキヨシが!」というコマーシャルが、彼の運命を変えてしまった。
なにしろ手軽におもしろすぎる。彼を指さして、「ここにもマツモトキヨシが!」と叫ぶだけで笑いがとれるのだ。宴会でも、彼を指さしさえすれば場を持たせることができる。彼の受難は想像できよう。
さて。そんな潔には気になる女の子がいた。彼女は潔のことを決してからかったりしなかった。彼女の名前が金森花枝であったことはなにか関係があるのだろうか。
ボーナスをもらった潔は、気合いを入れたデートに花枝を誘ったのである。ばっちりOKしてくれた。
当日、不幸にも彼は迷ってしまった。レストランが見つからないのだ。慣れない六本木、下見をしておけば良かった、と嘆きつつ、不機嫌な彼女をつれ歩く。立ち止まってあたりをみまわす。花枝はマツモトキヨシの看板をみつけて、思わずつぶやいた。
「潔、このビル」
12月24日のことであった。
余談1:「ここにも○○○○○○○○が!」というのは、マツモトキヨシに限らずおもしろい。ナラムラコウジ(仮名)という電波系の知人の名前をいれて「ここにもナラムラコウジが!」と、ネタにして楽しんでいたことがある。彼は非常に楽しい人物だったのだが、まだネタにするにはほとぼりが、ね。
余談2:オチが先に決まっていて、話を作るのに失敗するとこんなに惨めです。きゅー。