秋の夜は長い。梅酒ロックなぞ片手にぼけっと文章を推敲するには最高の季節だ。まあ、誕生日の夜にひとり文章の推敲をしている、という姿はどうかと思うけど。参加登録所に書いてしまった以上、誕生日のネタは禁じ手だと考えていたのだが、なあに3本目、かまやしねえ、という開き直りとともにこの文章はメタに徹してしまうのです。まあ、全くなにも考えずに思考を垂れ流すのも(自分だけは)面白いかな、と考えてしまったわけですね。でまあ、アップして、翌日きっと公開するんだけど、参加登録しちゃったから消すに消せなくて、でも全く反応がなくってしくしくしくしく、という展開が目に見えてるけど、いいんです! 今はお酒でハイなんだから。もう何でもOKって状態です。ああ、梅酒ロックっていっても、今飲んでる梅酒ロックは強くてね、ホワイトリカーじゃなくって、ブランデーベースなもんだから、度数でいえば40度を超えるくらい強いんだわ、でもおいしいんだけどね、これが。もう。切れた堪忍袋の緒が蘇生する暇がないほどだ、なんてくらい怒っている人でもにやりとしてしまう旨さだね。にっこり、ではなくてにやり、であるところが酒だよなあ、と思う。そういう基準では梅酒はなんとか酒だね。これが甘酒ではこうはいかない。甘酒は最高においしいと、やっぱりにっこり、とかほほえんでしまう、とか、そういう雰囲気の飲み物になっちゃうよね。ああでもでも、チョーヤの梅酒しか知らない人にはやっぱり同じイメージなのかも。が、私にいわせれば、断じてあれは梅酒ではないのです。なんですかあのむっとくるにおいは。腐っているんじゃないかと思っちゃったじゃないですか。腐る酒ってのも論外ですけどね。いや、酒、っていうかアルコールっていうのは菌の繁殖にはきわめて不向きな液体だからさ、腐るのは難しいのね。とか蘊蓄をやりはじめて、「でもウォッシュタイプのチーズはブランデーでカビを洗ったところにまたカビがはえるな……」なんて思いとどまって、でも調べない、そんなのが酒飲みの習性ですね。これで相手がいないだけまだいいんですが、相手がいるともうちょっとひどいことになって、いわゆる嘘蘊蓄をはじめてしまうわけです、これが。しかしこの嘘蘊蓄ってやつは、つっこみをいれてくれてもくれなくてもなかなか楽しいものでありまして、まあ世間にはつっこみをいれないひとの方が圧倒的に多い訳なんですがね、旦那。旦那ってなにいってんだか、落語じゃないんだし、って、まあ、あれですか。このお話も三題噺みたいなもんではあるんでしたっけ。まあ、語り口としちゃあまちがってないわけでござんすね、って語尾が混じっているような気もしないでもないでもないでも(以下24回)ないでもないんですが、まあいいでしょう。ね、ここ笑うところ。これのどこが面白いのかっていうと、なんのひねりもないところ。これでも酔っぱらいは楽しいんです。ね。ね。ね。ほら楽しいでしょう。んでまあ、適当に話がそれたところで三題噺なんだけど、これは難しいよね、あまりに早くネタを出しすぎると興ざめで、サゲの直前でふっと思い出したように出さなくてはいけない、それがまあなかなか大変で、ほら、アタシの例みたいに簡単に出しちゃあだめってことさ。ねえまったく。落語できちっとやるんなら、やっぱりじらさなくっちゃ。そうしないと感じてくれません。ねえあなた。まさかなあなた、政治家じゃないでしょうね? あら? 違う? 残念ねえ……ふたつめ、消化できないじゃない。と、あらあら、いつのまにかお客さんいるじゃない。アタシ梅酒片手にコンピュータの前にいたはずなのに。座布団にすわって、扇子片手にお客さんの前に座ってるわ。どうしちゃったんでしょうね。……うっそー!……って、これでウケがとれるのは景山民雄真打ちだけだってば。ねえ。アタシにはそんなことば、それだけはどうしても言えなかったのよ。そんな、若いおなごにこびるような芸は。それが出来るから民雄ちゃんはすごかったんですけどねェ。ああ、民雄ちゃんもなくなっちゃって、さびしくなったねェ。もう3年近いのよ。落語を愛してくれる放送作家だった作家で、つってもアタシは放送作家の彼はあんまり知らないんだけど、フルハム三浦って芸名だったっけ、大根でアバラ骨をおったなんて武勇伝もあったらしいわね。体をはる芸っていうのはどう評価していいかわかんないんだけど、アタシたちも心の恥を語る商売なんだから、それを体で語ってみせるって、なに高級ぶってんだか、まあ、落語家が体を張った芸を否定するのはどうかなァって理性では思うんですけど、やっぱり納得がいかねぇっていうか、あたしたちを一段高いところにおきたくなっちまうんですよ。ああそうそう、ちょうどアタシ、趣味で雑文書き散らすんですがね、それは小説の一段低いところにあるんじゃねえかって、それの逆ですわ。雑文っていいますとね、最近はいんたーねっとっていうんですか、あそこにある文章がおもしろくてねえ、まあありとあらゆる文章ひっくるめて、なんでもありなのが雑文っていいますか、これがなかなか。あまりにもおもしろいってんで、世間では雑文祭、なんていうイベントもあったりして、わたしも末席にさんかさせていただいたりなんかして、これがまた。三題噺みたいにしばりをかけて、みんなでいっせーのせって発表するの。時間制限が三題噺みたいにきつくないから、じっくり考えられて、ただそのぶんアドリブ一発勝負はしにくくって、微妙なところはあるんですが、まあそれは仕方がない。読むぶんにはアドリブ一発ばかりじゃつらいしねえ。んでまあ、こういうイベントを仕切ってくださるありがたい方々がいらっしゃるんですが、もちろんアタシじゃありません。お医者さんではありません。図書館屋さんでもないし、歌手でもありません。文房具屋さんでもありませんし、格闘ゲーマや、バーテンダでもありません。このイベントは幹事長も感じちゃう、もとい、幹事ちゃうんです。夜はまだ続く。
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これも第5回雑文祭の文章かもしれません。