第77回「7は孤独」(01.09.17)

かしむかし、かみさまたちが力比べをしていました。ぜのかみさまとつきのかみさまとたいようのかみさまです。ぜんのちからをあやつるみんなのうち、だれが王様になるかきめるのです。

さくいにえらばれたかわいそうなのうふの服をぬがすきょうそうです。ぜのかみさまはちからまかせに風をふきつけました。かし、かわいそうなのうふはからだごととばされてしまいます。のくわをからんとおとし、たおれてしまいました。夫がたりない、とたいようとつきのかみさまはわらいました。

のちからをあやつり、海の満ち引きをつくることができるつきのかみさまのばんです。んばって満ち潮をつくってのうふのふくをぬらそうとしますが、のうふはかんたんによけてしまいます。ぶものがないほど強力なちからですが、のうふがよけるひまがないくらいいっしゅんで海を満ちさせることまではできなかったのです。

ざまなけっかにはずかしがるつきをよこめに、たいようはにこにことかおを輝かせます。にふりそそぐひざしですっかりあつくなりました。すからのうふもあせびっしょりで、ついにふくをぬぎました。

ょうぶははっきりとつきました。いようの時代のはじまりです。

れから長い年月がすぎました。いぎが正しいことがなによりも大事な、へいわな時代です。

れらのしそんがおなじ力比べをはじめましたが、こんどはなかなか勝負がつきません。

んらんと輝くたいようのかみさまのおかげで、外はとてもあつくなりましたが、家の中ののうふは涼しい顔です。袖の着物をきて、のんびりといんきょ生活をおくっています。

っそ家をこわしてしまえ、かぜのかみさまはたいふうをふきつけます。期のはいったしっくいのかべはなかなかがんじょうで、びくともしません。賦でかった、たいせつないえがこわされなくて、のうふはよかったなあとおもいました。んばりつづけたたいようのかみさまとかぜのかみさまはいったんお休みすることにしました。

っかりとりのこされたつきのかみさまは、ゆっくりとひがしのそらにうかびます。らぎらとてりつけるたいようとはちがう、やさしいひかりで夜をかざります。夜はあかるい満月の晩、のうふはふくをぬいでおくさんとべっどにはいります。りきって成功の報告をしたのですけれど、それをみていなかったたいようのかみさまとつきのかみさまはつきのかみさまをうそつきだと夜の世界においだしてしまいました。

んでもらえるともだちがいなくなったつきのかみさまは、ひとりぼっちです。児をおだやかにみまもるたいようもいっしょにいてくれません。面に空気がしずんでいくような気がするほどかぜのないしずかなしずかな夜です。っかりしたきもちの月のかみさまのみみに、言葉が聞こえてきました。

ぶ家のまどがひらき、のうふのおくさんが顔を出して、「きれいねえ。つきが出てくれるおかげで、とてもきもちいいわ。まっくらな夜がこんなに優しく感じられるなんて」

ぜんとたたずんでいたつきのかみさまに、そのことばはあたたかくしみこんできました。の夜にたたずむことが、なんだかとても素敵なことのように思えてきました。

きることはやさしいあかりで町をてらすことだけですが、今、つきのかみさまはとても満足です。

えながくしあわせにくらしました。


この文章は赤ずきんちゃん☆オ〜バ〜ドライブの40000ヒット記念雑文企画に乗っかって書かせてもらいました。地元は千葉県、もとは「太陽と北風」。つぎの余興ではもっと好き勝手に書きました。

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