ポエニクスを並べる

神無一族の反乱第17回で登場した傑作「ポエニクス」を並べよう。2002年6月号。私的ベストフェアリーのひとつ。

収束はよくわからないが、飛車で王手をすると銀を打ったり歩が成るだけでなく、36金を取って49金を発生させるという受けがある。これを魔女返しと神無一族は言う。銀合や歩成は取るしかなく、続かない。

19飛打 36歩<35/49金。

金を移動することで王手がかかる。歩を取ったものだろうか? 取ると53に復活して、54金を取れると。ほほう。そういう趣向なのかな君は。58金<49/53歩 54歩<53/69金。49でなく69に復活するのは歩がにこにこと待っているから。当然78金。

成生非限定はないという裏読みでちょっと手が続く。 78金<69 同歩成<77/69金 68金<69 同と<78/69金

まだ何がしたいのか方針がなかった。金がずらせるのと、と金を取れば銀桂も戻せる、と。当時の私はこの辺で諦めてしまったのだが、根性ないなあ。さばきたいのは桂だ。それも右側の。38桂を戻そうという発想ができれば実現は難しくない。78金<69 58と<68/49金 48金<49 同と<58/49金 58金<49 38と<48/29桂。

ここまで動かしてみれば展望が開ける。14飛が世に出せるのだ。17桂<29 同と<16/29桂 同桂<29/13歩 同香生<15/29桂 37桂<29 19香成<17 同飛<14/11香。

そしてまた19飛による王手がかかる。飛合、同飛/82飛とすれば85飛/69金というすごく作為っぽい応酬もでる。28桂も37桂も戻せる。まあ36歩を活かすなら今しかないのでさばく。37歩成<36/29桂 17桂<29 28と<37/29桂 37桂<29。

37同桂とは取れないので(取っても34に目標になる先手駒がない)17桂、と金がどいたところに37桂。いいじゃないか。で、と金を活かすことを考えたら29飛は想像できるがさて。とちょいと盤面を見ると85金と25金が輝いている。

29飛打 同飛<19/82飛 85飛<82/69金 68金<69 25飛<85/49金

わあ金が並んだよ気持ちいい。まだ収束は読めていないけど金ベルト的なものを使って歩を銀桂の前に復活させればなんとかなるのか? ここが紛れもあり一番むずかしいところ。えいや、とあとから使えなそうな右側の2枚を狙ってみよう。。

48金<49 同と<38/49金 38金<49 58と<48/49金 48金<49 68と<58/69金 同金<69/63歩
38と<28/49金 58金<49 48と<38/49金 同金<49/43歩

いざ銀を戻してみると方向性が見えるのではないか。飛を8段目に呼べる。飛生なのは後で分かるのだけれど、フェアリー的にはいつでも成れそうなときはたいてい生。金ベルトを使って飛車を寄せていく。

44歩<43/39銀 28銀<39 同飛生<25/39銀 38銀<39 同飛生<28/39銀 28銀<39 48飛生<38/49金 38金<49
58飛生<48/49金 48金<49 68飛生<58/69金 58金<69 78飛生<68/69金 68金<69

流石に収束を読まないといけないが、あと少し。頑張ってみよう。銀を取る。87歩をさばく。残されているのは杏、馬。杏を91に戻して馬を移動させれば、96とがピンされて、8筋から龍の王手をかければ82に復活するので王で取れない。ほほう。

88歩に同銀だと成生非限定、とか裏読みも使って、74飛生<78/79銀 88銀<79 同歩成<87/79銀 78銀<79

杏と飛車をどちらからさばくかはここまでくれば簡単な試行錯誤の結果で、飛から。

同と<88/79銀 同銀<79/73歩 同飛生<74/79銀 88銀<79 同飛生<78/79銀

これで飛生の理由がわかり、あとは一気に収束。

78銀<79 64歩<63/89桂 77桂<89 同杏<66/89桂 同桂<89/91香 48馬<93/49金 同金<49/22角 86飛成<88/79銀 まで 72手

いやあ、こういう作品は並べ直すだけでも大変楽しい。受方飛車の大移動を軸として、飛車の移動するレールとなる金銀を並べるところから始めた全体の構成が凄い。何度並べても感嘆する。解けなかった身で言うのもなんだけれど、構造が難しすぎないのも美点だと思う。