WFPを振り返る:36

WFP36号から。読んでいただいている方にはどうでもいいがちょっと久しぶりの記事編集。

麒麟の効きはこう。

不慣れな駒とどう戯れるか、戯れてもらうかというのは作者にとってひとつの課題だと思う。この作品はかなり良いラインにあると思うのだけれど、それでも触れずにスルーしまう人は多いんじゃなかろうか。

さて麒麟。この駒はチェスボードでいうと同じ色にしか動かない。そして、強欲なので詰ますとき以外は玉の効きに入っては行けない。その前提で動かしてみれば解くのは難しくない、いや簡単。

14麒<25 22玉<12 24麒<15 32玉<22

以下素直に横に追う。

34麒<14 42玉<32 44麒<24 52玉<42 54麒<34 62玉<52 64麒<44 72玉<62 74麒<54 82玉<72 84麒<64 92玉<82 94麒<74

折り返しもも素直に。

81玉<92 83麒<94 71玉<81 73麒<84 61玉<71

63麒<83 51玉<61 53麒<73 41玉<51 43麒<63 31玉<41 33麒<53 21玉<31 23麒<43 11玉<21 12歩打 まで 33手

あっけないほど簡単に詰む。まさしく作者の言う通り戯作といったところか。

戯作じゃないほう。密集形に大量の持ち駒を打ち捨てていく作品は盲虎によるもの、醉象によるものの前例があるため、作者はパロディー作品という。麒麟だと打ち捨て場所が玉から道のりで2マスとなる。麒麟の特性上使用するマスはほぼ半分。キー(桂跳ね)によって使用するマスが切り替わることもない構成。これは複雑化の余地を残しているとも言えるが、これくらいのほうが手が出しやすいとも考えられ、一概に悪いことではない。

手を出してみると周辺をジグザグに追うしかなく、見た目ほどの複雑さはなく、角を動かして39桂を動かす、というキーも見えやすい。麒麟の効きに虎や象みたいな効きの抜けがないので、並べやすく楽しい作品。

参考までに、麒麟で本当に例題というとこんなの。協力詰5手。

47銀打 67玉 58銀 56玉 54麒打 まで 5手

見てのとおり効きの確認用なのだけれど、短手数だとただややこしいだけなのは否めない。