WFPを振り返る:35

WFP35号から。今回はfmzaでの検討が大変な作品特集になった。

対面、というか性能変化ルールはそれだけで手をつけにくい面もあるが、これは簡単。24桂、xx玉、12桂しかほとんど選択肢がなく、眼の前にある馬で12桂⇔22桂の往復も見えやすい。収束も8段目の玉頭桂の基本形。

飛車2枚の2作目を飛ばして、これも神無七郎氏。これは難しい。手を繋げるのに明らかに対駒が必要で、対駒ありとなると手が広すぎて途方に暮れてしまう。そしてそれっぽい手順になる前にあきらめることになる。私はなった。後述の雲海作よりもfmzaでの検討には時間がかかる。というか終わらずあきらめた。やったね!(何が)

せっかくの性能変化なので並べてみよう。
52桂打 42玉<41 34桂<52 33飛<31 54桂<34

いきなり目まぐるしく角>桂>飛>桂と化ける。
53飛<33 34桂<54 52玉<42 22桂<34

龍に変身。
63玉<52 52桂<22 62玉<63 74桂<52 73飛<53 54桂<74 52玉<62 62桂<54

馬に変身。正直さっぱり分からない。なんだか凄い、としか言えない。 作者はこの動きを三角飛びと表現しているが、よくまあ作品に昇華させたものだと思う。
43玉<52 52桂<62 33玉<43 34桂<52 25玉<33 22桂<34 34玉<25 52桂<22 43金打

目的は玉を上段に運び、合駒をするスペースを開けるため、ということだった。 とはいえなんもはや不思議な手順。受方の玉以外の駒で動いたのは飛車だけだった。
74桂<52 33玉<34 34桂<74 25玉<33 22桂<34 35玉<25 62桂<22 34玉<35 44桂<62

金を運ぶ手段は移動合ではなく変身解除。ここからでも相当に難しい。
55金<43 52桂<44 43金打 74桂<52 33玉<34
34桂<74 25玉<33 22桂<34 35玉<25 62桂<22 34玉<35 44桂<62

もう一枚飛ばして収束。
35金<43 52桂<44 44玉<34 74桂<52 43玉<44 44桂<74 まで 53手

三角というか平行四辺形というか、自由に飛び回る桂の動きだけでも鑑賞してほしい。対面ルールはここまでできるのだ、という作品。

長手数の自玉詰。香をもらって歩稼ぎしつつ合駒鋸をするくらいしか方針がないし、それは間違っていないのだが明確な手順を探しに行くと露頭に迷うことがあるようだ。

今の時代なら400時間かかったというfmzaでの検討が24時間で終わる。ありがたや。では並べさせてもらおう。

88歩打 86玉<87 31馬<21 42と<32 87歩<88 同玉<86 21馬<31 43と<42
88歩打 86玉<87 31馬<21 53と<43 87歩<88 同玉<86 21馬<31 54と<53
88歩打 86玉<87 31馬<21 64と<54 87歩<88 同玉<86 21馬<31 65と<64
88歩打 86玉<87 31馬<21 75と<65 87歩<88 同玉<86 21馬<31 76と<75

一歩消費型のと金鋸でと金を呼び出す。
88歩打 86玉<87

ここが罠で、すぐに97玉からと金を剥がしに行くルートがあり、こちらは1歩不足になるそうだ。
87歩<88 97玉<86 31馬<21 86と<76

ともかく86に呼んで
98歩打 96玉<97 97歩<98 85玉<96 86歩<87

剥がす。次の目的は56香。
76玉<85 21馬<31 67玉<76 68歩打 同玉<67 13馬<12

バトンタッチしつつ香を呼ぶ。
57香成<56 69歩打 67玉<68 12馬<13 56杏<57 68歩<69 57玉<67
13馬<12 66玉<57 67歩<68 75玉<66 31馬<21

また1段目の馬にパスして
65玉<75 66歩<67

直接王手で杏を呼ぶ。
同杏<56 21馬<31 75玉<65 31馬<21 76玉<75 21馬<31 86玉<76 31馬<21 87玉<86
21馬<31 76杏<66 88歩打 97玉<87 31馬<21 86杏<76 98歩打 同玉<97 21馬<31 87杏<86

今度の剥がす位置は87。
99歩打 97玉<98 98歩<99 86玉<97 87歩<88 75玉<86
31馬<21 85玉<75 86香打

84歩を駒台に乗せに行く。
96玉<85 97歩<98 同玉<96 84香<86 86歩打 98歩打 96玉<97 97歩<98 85玉<96 86歩<87 84玉<85

84香をとってもらい、あとは香を返してもらえば念願の歩稼ぎに入れそう。
85歩<86 同玉<84 86歩打 76玉<85 21馬<31 86玉<76 87歩打 97玉<86 31馬<21 86香打

香の王手ではなく、別の駒、今回は馬の王手に香合をしてもらうのが限定の仕組み。
98歩打 96玉<97 97歩<98 85玉<96 86歩<87 84玉<85 85歩<86 同玉<84 89香打

歩が足りた! という安心の瞬間。
88歩打 同香<89 87歩打 同香<88 86歩打 同香<87 76玉<85
21馬<31 86玉<76 87歩打 97玉<86 31馬<21 86香打

112手目から歩1枚増加。やったね! 一気に稼ぐよ!

98歩打 96玉<97
97歩<98 85玉<96 86歩<87 84玉<85 85歩<86 同玉<84 89香打 88歩打
同香<89 87歩打 同香<88 86歩打 同香<87 76玉<85 21馬<31 86玉<76
87歩打 97玉<86 31馬<21 86香打 98歩打 96玉<97 97歩<98 85玉<96
86歩<87 84玉<85 85歩<86 同玉<84 89香打 88歩打 同香<89 87歩打
同香<88 86歩打 同香<87 76玉<85 21馬<31 86玉<76 87歩打 97玉<86
31馬<21 86香打 98歩打 96玉<97 97歩<98 85玉<96 86歩<87 84玉<85
85歩<86 同玉<84 89香打 88歩打 同香<89 87歩打 同香<88 86歩打
同香<87 76玉<85 21馬<31 86玉<76 87歩打 97玉<86 31馬<21 86香打
98歩打 96玉<97 97歩<98 85玉<96 86歩<87 84玉<85 85歩<86 同玉<84
89香打 88歩打 同香<89 87歩打 同香<88 86歩打 同香<87 76玉<85
21馬<31 86玉<76 87歩打 97玉<86 31馬<21 86香打 98歩打 96玉<97
97歩<98 85玉<96 86歩<87 84玉<85 85歩<86 同玉<84 89香打 88歩打
同香<89 87歩打 同香<88 86歩打 同香<87

でも目一杯じゃない。ここから収束に入る。収束の主役も香だ!
76玉<85 21馬<31 86玉<76 31馬<21 76玉<86 21馬<31 67玉<76 12馬<13 56香打

おかえりなさい。
68歩打 同玉<67 13馬<12 57香成<56

ここから一歩消費形の成香ノコ。序のと金ノコのリバースになっている。様式美。

69歩打 67玉<68 12馬<13 56杏<57 68歩<69 同玉<67
13馬<12 46杏<56 69歩打 67玉<68 12馬<13 45杏<46 68歩<69 同玉<67
13馬<12 35杏<45 69歩打 67玉<68 12馬<13 34杏<35 68歩<69 同玉<67
13馬<12 24杏<34 69歩打 67玉<68 12馬<13 23杏<24 68歩<69 同玉<67 13馬<12

収束もちょっと味があって、成香を12まで引っ張るには角が欲しい。
同杏<23 69歩打 67玉<68 68歩<69 66玉<67 67歩<68 75玉<66
31馬<21 76玉<75 21馬<31 86玉<76 87歩打 97玉<86 31馬<21 86角打

最後までお世話になる86。
98歩打 96玉<97 97歩<98 85玉<96 86歩<87 76玉<85 21馬<31 67玉<76
12角打 同杏<13 まで 306手

いやはや、とにかく綺麗にできた作品。と金の奪い方は頻出だという解説もあるが、私にはまだまだ目新しい。

無解となった作品。どうやっても消えない飛車をどう閉じ込めるかの想定も難しいが、その実現も割と大変。先に詰め上がりはこちら。

逆王手をとことん利用して縛る。詰め上がりが分かっていても鑑賞にたえるテクニカルな手順なので鑑賞しよう。局面数は目安にすぎないがこれもなにか技をかけないとfmzaでの検討は無理そう。穴や岩や持ち駒制限程度では歯が立たない。

まあともかく鑑賞しよう。
47香打 46桂打 15飛打 36玉<45 38飛打 47玉<>36香

縦から横から飛車を使って、一旦好位置にいた香を一旦逃がすのもちょっと指しにくい。PWCでは見る形、といえばそれはそうなのだが。
17飛<15 37桂打 48香打 36玉<>47香

ともかくこうして4筋の形が決まる。
37飛<>17桂 25玉<36 29香打

ここからの畳み掛けが美しい。
28角生<19 同飛<>38角 27桂打 同飛<>37桂 26桂打 まで 18手

異なる駒の王手に対する3連合という表現でいいのだろうか。あっという間に飛車2枚が角桂に包まれて幕。