アリス将棋とアリス詰

 お久しぶりです。なんのことはない、ゲームしてました。なんだかすみません。

 さてさてカピタンに登場するフェアリールールの中で気になったアリス将棋とアリス詰。例題までいかないけど、将棋に移植する場合にちょこっと整備が必須なことに気づいたので定義しておこう。

 チェスでの事情はwikipediaを参照した。Alice chess – Wikipedia

アリス将棋案

  • 盤面を2つ用意する。盤面A、盤面Bとする。
  • 盤面Aにある駒を移動すると、盤面Bの同じマスに移動する。同様に、盤面Bにある駒を移動すると、盤面Aの同じマスに移動する。
  • 移動先が自駒または敵駒で塞がっているときは移動できない。
  • 移動元の盤面にある駒を取ることができる。
  • 駒打ちは盤面Aに打ち、盤面Bに移動するか、盤面Bに打ち、盤面Aに移動する。盤面ABの両方のマスが空いていないと打てない。
  • 初形は盤面Aに先手の実戦初形、盤面Bに後手の実践初形を並べるものとする。

太字がチェスでは不要だが、将棋では必要な記載となる。

順に説明していこう。

23金は12,22,24,32,33に移動でき、移動したらB盤に移動する。棋譜表記は仮に22金Bとでもしておこう。移動先の盤を末尾につける。そして、13には移動できない。13Bが塞がっているからだ。

22金Bの場合は歩が駒台にのる。

13銀Bは12,24に移動できる。成ってもよい。22には移動できない。

次は駒打ちだ。ルール上、11B、34Bには駒が打てない。一旦11A、34Aに打ってから移動する、という手続きを踏めないからだ。なぜそういうことになっているかというと、後手が11歩Bと打てたと仮定しよう。その瞬間、11玉Aは不滅となってしまう。それを許してしまうと、指将棋としては破綻し、詰将棋としては持駒が枯渇しなければ詰まないことになるのだ。

さて22金と打った局面を考えよう。これは王手だ。

しかし詰みではない。受方は12玉B、21玉Bと逃げることができる……というのは実は議論の余地が大いにある。Alice Chessの考え方ではこれは詰なのだ。11玉は12玉A→12玉Bと移動するわけだが、Alice Chessでは12玉Aとした状態がilligalではあってはならないのだ。

それは直感的なのかもしれないが、明文化しようとするとえらいややこしくなる。そこでアリス将棋案ではばっさり削ることにした。が、削らないほうがいいかもしれないとも思う。

アリス詰案

  • アリス将棋のルールで詰将棋(普通詰、協力詰、自玉詰など)をたのしむ。
  • 初形で、盤面AとBの同じマスに駒が存在していてもよい

2つめは作者のルールだ。考えるとわかるが、アリス将棋では盤面ABの同じマスに駒が現れることはない。チェスプロブレムでは実戦初形から到達可能な局面かどうかをすごく気にするのでそのような初形は基本的には厳禁となる。でも、詰将棋では気にしなくてもよかろう、ということで明示してみた。

例題はないの?

すみません、ないんです。ルール整備がちょっとおもしろかっただけで、詰パターンとかを考えるまでまわっていません。当然のごとく機械検討も不可能だし、詰将棋として面白そうかと言われると口をもごもごさせる感じなのです。

まあでもちょっとだけ例図を。13金を動かすとB盤に金が移動するので香の王手がかかります。12金、14金、22金、23金。どれが詰んでいて、どれが詰んでいないでしょうか。合駒はありません。金の移動合? はB盤に移動してしまうため受けになっていません。とすると12玉Bまたは22玉Bと逃げるくらいでしょうか。それができるのは初手14金Bだけです。ご確認ください。