WFPを振り返る:78

WFP78号から。

WFP作品展では珍しくなったシンプルな協力詰。やはりシンプルならではの楽しさがある。作品としては19香の処理が見事な2番か。

8手。双方の玉が桂に化けて桂4枚での詰め上がり。美しい。

Imitatorもこれくらいならなんとか。盤上の駒の動きに合わせてImitatorが動く。Imitatorが盤からはみ出したり駒と重なる手は禁止。18馬の王手にimitatorを下に押し付ける74桂、上に押し返す41香成。imitatorが上に張り付いたので玉は下がれず詰。

やさしいけど手を付けにくいナイトライダー、しかも中立駒。まあ11に追って両王手しか読む気がしない。11-23-35のラインにNrを運んで23飛、11玉、13飛成まで。実際にそうなる。

逆王手がかかっている初形から、7段目に遮蔽駒を挟んでなんとかするしかない。詰め上がりの想定も難しいがそれを実現する手順も大変。
77金打 68玉<78 67金<77 58玉<68 57金<67 48玉<58 49歩打

まあ左下をほぐしにいくしかないだろう。
同金<59 47金<57 38玉<48 39歩打 同金<49 37金<47 48玉<38 49歩打 57玉<48
47金<37 67玉<57 68歩打 同銀成<79

金を39まで片付けて、そのまま69金を運びたくなるが、先に銀を成らせるのだ!
57金<47 77玉<67 67金<57 78玉<77
77金<67 88玉<78 87金<77 78玉<88 79歩打 67玉<78 77金<87 57玉<67
67金<77 47玉<57 48歩<49 58玉<47 59歩打 同金<69

香を取らせてターンして69金を59へ。
57金<67 48玉<58 47金<57 38玉<48 37金<47 48玉<38 49歩打 57玉<48 58歩打 同全<68

成銀を呼ぶ。
47金<37 67玉<57 57金<47 77玉<67 78歩<79 68玉<77 67金<57 78玉<68 79歩打 同金<89

79金に手がかかる。どれをどの順番でどこに運ぶのか、非常に複雑。
77金<67 68玉<78 69歩打 同金<79 67金<77 78玉<68
77金<67 88玉<78 87金<77 78玉<88 79歩打 67玉<78 68歩打 同全<58

成銀が戻る。このあたりどうやって作意設定しているんだろう。
77金<87 57玉<67 67金<77 47玉<57 48歩<49 58玉<47 57金<67 48玉<58
47金<57 38玉<48 37金<47 48玉<38 49歩打 57玉<48 58歩打 同全<68
47金<37 67玉<57 68歩打 同金<69

くるっと回って49歩を打ち直して金全の位置調整。これでスペースができた。
57金<47 77玉<67 78歩<79 同金<68
89桂打 68玉<77 69歩打 同金<78 67金<57 78玉<68 79歩打 87玉<78
88歩打 同銀成<99 77金<67 まで 107手

68金をさらに2回動かして収束。いやはや。

こういう、何枚かの守備駒を移動させて整理する作品を倉庫番的趣向と呼んだりする。明確な呼称や定義はないようだが、キルケ系ではないルールでは希少だと思う。ぱっと浮かびやすいのは同じ神無七郎氏のPWCのこれとか。コメントでは「剥がすのではなく待避」と称している。

その系譜を追ってみたい気はある、と書くだけ書いておこう。作例を教えていただけると書かれる可能性は上がります。

最近私も出題させてもらったWFP版くるくるの初回解答。暗算で解けるかどうかはともかく、作意手順はおもちゃ箱のくるくるの意図に沿った楽しい繰り返し手順。なかなか「暗算で解ける」「趣向的手順」の両立は難しい。

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