対面で長手数ってあんまりないなー、なんでだろう、とか考えながら脳内盤やfmzaを動かしていた。どうも玉の正面に駒を打つと玉の効きで王手がかかる、というのが強すぎて制御しにくいんじゃなかろうか、というのがひとまずの推測。
JIGSAW BOX#5、WFP28号結果発表。龍か飛車の前に駒を打って王手をかけ、王手駒を横に飛ばす趣向。「よくあるパターン」「おなじみの手筋」と短評にあって「そうなんだ」と思っていたが、どうも自玉詰ではない長編ではこれしかないようだ。それが握り詰だというのはなんだか面白い。長さだけなら歩をあと7枚もたせることもできるが、流石に野暮だろう。
角に化けた歩の王手>歩を飛ばす例はこちら。飛車でもそうだが、自玉詰しか見つからなかった。
長編化するならどうすればええやろか、ということで実現したひとつアプローチが取禁だ。神無七郎氏が桂単騎の対面協力詰を何作か発表している。
WFP35号解説、神無七郎氏作。これがまー難しい。作品としてもさすがの内容。
取禁なしではこう。逆王手を利用して収束以外を対面で化けた馬の王手に統一しており、対駒の出る余地がない。どうすれば89とを取れるのか、という問いに対して88金98銀とならべて88金で空き王手をかければよい、という解答が明快。
フェアリーDBでの最長手数はこちら。
玉以外の対駒による王手をうまく活用して詰みにくい環境を構築している。往復でと金を別の使い方をするのがチャーミング。角の使いかたが印象的。
と金の壁を駒がスライドする手筋は加賀孝志氏が何作か自玉詰で発表しているようだ。出口作の後続作といった趣だが、比べちゃうとちょっと弱いかな。
なにかしらうまいこと舞台設計できたら新しい長編もありそうな気はするけれど、まだまだ私では力が足りないようだ。長編のない/少ないルールについて、なぜないのかというのはひとつの創作のきっかけになるかもしれない、ということで記事化した。
余談として、対になるルールの背面でも長編は神無七郎氏の独壇場だ。
生桂でうまいこと王手できればあっさり詰むのに3枚も成らざるを得ない構成がもどかしくも楽しい。2段目だと大抵歩になってしまう成桂で93銀を運んでいくと右辺に収束がある。