性能変化のややこしさと面白さ

性能変化ルールはまあとにかく慣れるのが大変だ。ネコネコはその最たるものだが、安東西だってなかなかだ。

安東西3手。左右に自駒があるとその効きになる。元の駒の効果は失い、左右両方に自駒があると2つの駒を合成した効きになる。

初形では11飛が玉に、21玉が飛に化けている。21玉の右がすかすかではどうにもならないのでこれをなんとかしたい。候補となる手は下記の通り。玉の性能を飛車でなくすか、31を塞ぐか。

  • 12と 同飛
  • 22と 同玉
  • 31と 同玉か同角
  • 31桂成 同玉か同角

正解は31と、同角。狭いので不利感はほとんどないが玉を飛車+角=クイーンにする。

あと1手で詰む。その手自体は難しくないだろう。33歩成だ。

あれ? 歩生は? そう、それだけがこの問題の意義だ。43玉は33とは23との性能になっているので歩生でも不可。23玉は単純に24歩が効いている。あれ? とちょっとだけでも思ってくれればこの図の仕事は完了だ。33が歩だと23のと金の効きが歩になってしまうので12に逃げられる。なお、22は33歩=23と金が効いている。

本来この狙いをやるなら11飛もどこかから引っ張ってくるか玉が角飛の間に入るのがお作法というものだが、簡単ではなかったのと。3手の時点で十分複雑だと判断してこの図で紹介することにした。

2024年8月時点のはやりルールは敵味方関係なく効きを変えるネコネコだが、安東西あるいは側面だってなかなかだ。安騎とかもね。ただ、これらの性能変化を面白いとするか混乱するかというのは微妙な問題で、いやでも、そもそも混乱するから面白いという価値観もある。カオスだけを求めるならネコネコをそれぞれ縦にも横にも適用してやればきっと酷いことになる。

私自身は、というと嫌いではないがたまにでいいかな、というところ。安南(北)、対面(背面)が比較的穏当なのは駒の効きが入れ替わりではなく、片方だけが化けるから。また、穏当なだけでなく飛車や角の数を擬似的に倍にできる特性があり、これは入れ替わり系のルールでは単純には実現しない。

48歩 56玉 47歩 57香 同香 65玉 67歩 55玉 56香打 まで 9手

まあ、これくらいの複雑さのほうが落ち着く。ちょっとでも気の利いた手は47歩だけ。