WFPを振り返る:98

WFP97号は結果稿は推理将棋のみ。なのでWFP98号から。

 王を縛るのは飛のサンドイッチだろう。角では王手がかからない。では王が33に動くのは何で塞ぐのか。31飛、41桂なんてどうでしょう。と、ここまで読めばすらすら解ける。やさしい裸玉なんですが、手をつけてもらえなかったのだろうか。

 しかしとっつきの悪さでは負けていないこちらには3名の正解者がいる。へえ。まあ例によって王を大駒ではさみたい。挟んだ駒を動けなくする方法が難しい。飛車ではどうも無理そうだ、というルートでもいいし、13角35角がとても良さそうだとアタリをつけても良い。実際に頭2手はそうなる。22合に飛を打ってなにかしたらもうステイルメイト。
 合駒は動かせない。飛車の動きをとにかく制限しよう。22が飛車で24飛車だと飛車は縦に動けない。Gも飛べない。いい感じ。じゃあ横移動はどうしよう。ここで35角36Gが輝く。そうかG合だ! 飛車が動くと先手Gがマドラシ状態になる! おお!
 最後にG合の位置だ。33だとどうなるかというと、今度は35角が動くと今度は後手Gがマドラシになる! よって13角がフリーになって22角(成)という手が残される。
 双方のGの一方通行のマドラシ禁が含みになった濃厚な論理の好作。

 鑑賞用と言われればそれまでだし私もそれに異論はないけれど、やはりこの初形には価値がある。そういえば私の価値観に「初形が実戦初形に近いのは割と好き」というものがある。キルケの影響だろうか。初形曲詰や桂香配置の実戦形はわりと感動が薄いのに。

 ヘルプセルフ。最終手だけは詰が強制されないといけない、というチェスでは割と普通のルール。そもそもセルフという対抗系ルールの自玉詰もチェスではメジャーなジャンルのひとつだ。基本的には応手がひとつしかない王手をかけてその応手が詰、という形を目指す。というか応手が複数あってどれも詰、は将棋では余詰扱いだろう。 王手義務がなければステイルメイト絡みもあるけど。
 この形式だと協力自玉詰よりお膳立てが必要になるが、普及するかはその手順が面白くなるかどうかにかかっている。最終2手でインパクトを与えるのは難しそうだから。逆にそこでびっくりさせてくれたら白旗を上げます。
 この図ではQを取るしかない状況を作ってそれが詰めばよい。難しくはないだろう。

 裸玉なので銀から始めるしかなくて逃げて鷲打って合駒して銀で取って逃げて合駒打って詰、と読めばストーリーは見えている。が、詰め上がりの想定はそんなにやさしくない。結論としては合駒が鷲の踏み台になってしまって効かない、という形を目指すことになる。曲がるホッパーだからできる合効かず。
 この作品には関係ないが、Eagleの効きを斜め方向に使われると今のところお手上げ感がある。見えない。

 合駒のすりかえ。この作品はシンプルだけれどそれで面白いことができるような気がする。斜めに並んだ金駒が前に進んだり後ろに戻ったり。玉を2ライン移動させないといけないので実現性はともかく。

 中立玉は難しいよね、という図。n玉移動がひとつの駒しか動かないので地味なのだ。この図では石は踏み台になる。現在のfmzaの仕様では踏み台にできる壁は◆のpyramid。

 この図もどうなのよ、とは思うけど往復してもらった例。移動ルート限定のためだけの駒が非常にさみしい。収束がぞんざいなのは玉移動が薄味なのでこの場合はこれでいいと思う。19香29香17v歩とかで玉移動だけで詰ますことは可能だけれど原理的に駒余りになるはずだし、やっぱり面白いとは思えないのよ。

 線駒でのn玉の行進にこだわるなら通常駒で余詰防ぎがひどいけどこうか。収束? 知らない子ですね。