WFPを振り返る:113

特に年始とかなく風情なくWFP113号から。

シンプルな協力詰でもやっていないテーマはあるものだ、という例。龍をどかして香を打ってなんとかするわけだが、欲しいのは馬角にさわらずに済む桂。それが8段目なので26経由でもらう、という理屈。

b)の32金23玉に12雀で王手をかけて、22銀埋めに対して銀を踏み台に13雀とするとまた22銀を踏み台にした王手がかかる、というのが雀の特性だろうか。ちょっと面白い。

えーとつまり、踏台となる駒を置いて雀を隣接させると、その駒を踏み台に雀はくるくる回れる。Eagleなどとちがって隣接したマスに着地するため回転感が強い。

要するにこういうことができる。sparrow入門があるとしたらこれしかないでしょ、みたいな。35や75の駒がないと生じる非限定と、その消し方も入門的になかなか嬉しい。直接的な行先封鎖だけでなく、これらがあることで雀が想定ルートを外れると余計な効きが発生するのだ。

具体的には46雀66玉のとき、55歩を踏み台にして56雀が想定ルート。66玉を踏み台にして57雀が紛れルート。紛れルートだと75歩があるために65玉が受けになっていないのだ。玉を踏み台にして飛ぶと玉に王手がかかる、というのもちょっと面白いのでこちらを作意にしたいくらいだけど。

逆王手をくりかえしつつn玉が19まで旅して28歩成まで。自分で試すと今ひとつだったが、作品でみると28銀というアクセントも入りそれなりに面白い。

詰む可能性がある駒が飛に化けたであろうOrphanと馬(一応龍)くらいしかないので簡単に見えるけど、そうでもないのだろう。こういうとき玉が隣接できないOrphanは強い。

初形打歩詰なのだけれど、そもそも玉の性能が歩なので42馬で馬になった銀で王手して、24馬か角成で簡単に詰みそう。23合は胴銀なので24に効かせる32桂。構わず24馬とすると同桂で、自然に16歩が打歩詰ではなくなっていて、桂が2段跳ねする。15角を42角成と逃げて26桂まで。17銀が16桂で無力化されていたり、32桂のリフレインだったり、気持ちの良い展開が続いて嬉しい作。

手数勘定は始めると楽しいのだけれど始めるまでが大変。1筋の歩の折衝の間に91金と99金がごちゃごちゃ動く。さらに7-9筋の桂香歩が動く。とどめに9筋の歩香を進めて最後のあがきをする、という構成。頑張れば解答できる気もするけれど、うーん、というのは協力詰の寿限無機構に近いものを感じる。

くるくるではなく通常出題のほうが良かったかも、とは思う。n歩を王手で打ち玉移動にn歩で空き王手。後手のn馬移動でラインがずれて繰り返し、という楽しい趣向。n歩は不成で1段めに行けるのでステイルメイトの邪魔にならない。まあ易しくはあるのよね、とも思えてなかなか発表方法は難しい。金銀は中立駒ではないほうが分かりやすさでは良かったかも。