WFPを振り返る:32

WFP32号からはこれ。Onsite Fairy Mateの記念すべき定期出題最終回。ふさわしい難易度。

パリティによる不詰ルートの説明がお見事ですが、ちょっとだけ丁寧にして内容はほぼ転載。詰め上がりは下図しかありません。

初手から59歩、46騎、47歩までは絶対なので、ここまで進めた局面です。灰色の歩が詰め上がりでの想定です。1筋9筋は使えなくなっているので歩は省略。忘れて図を作り直すのが面倒とも言う。

さて、ナイトの軌道について考えましょう。ナイトの特性上、ナイトは次は白マスに必ず行きます。その次は黄色マスです。「白黄白黄……白黄」と移動して51にたどりついて詰みます。白マスの58から初めて黄マスの51で詰むので白マスと黄マスは同じ数になるわけです。

さて、歩で追うので、ナイトは各筋で最初に歩で王手したマスから、歩の最終位置の前のマスまで、絶対にすべてのマスを通ります。二歩禁が偉いのです。では、必ず通るマスを強調してみましょう(色が区別しにくい方ごめん、配慮できてないです)。

オレンジ12、灰色13です。では、67騎とやってみましょう。

各色2つづつ増えて、オレンジ14、灰色15です。一見どうにでもなりそう差なのですが、これが解消不可能なのです。歩を取ったとしても、「ひとつ下に歩を打つ王手」と「歩を元に戻す王手」が色違いで差し引きチャラです。2筋8筋で歩を打つ位置を工夫しても、灰色から先に増え始めるため、よくて状況を維持するだけです。

このバランスを崩さない手が38騎!なのです。

オレンジ13、灰色14ですが、6列目の歩の王手を奇数段目からすることで1つの差を埋められます。同じ理屈で、2列目8列目の歩の王手を偶数段からすると灰色が多くなって詰みます。というとややこしいですね。状況が詰むという意味で、以下どうやっても状況が解消できず不詰となります。

そしてこの問題の素晴しくも辛いところは、「それがわかったところでどうしようもなく難しい」ということです。歩の打ち直しはたくさんあるし、2筋8筋の使い方はまるで対象的です。あと無粋な補足をしますと、WFPの逆算図は86歩か持ち駒かはおいておいてちょっとずれていてこんな図になります。

作者コメントにもあるけれど、成禁の歩でナイトを詰める協力詰はfmzaで遊ぶとわりと楽しいです。しかし、遊べば遊ぶほどこの図がベストに思えてくるので、発掘しがいがあるかというとそうでもない。19筋の利用を封印する発想が偉い。

突き歩詰というお題に登場した密室作品。解くには非常にいやらしい問題で、眼の前に歩稼ぎ手順があるのにそれが罠、というおっそろしい問題。これは今でも解くのは無理そうだなあ。手数短縮というのは協力詰の醍醐味のひとつではあれど気分的に苦手。