WFP103号から。
(2,4)リーパー。√xリーパー表記は√50リーパー=(1,7)リーパー+(5,5)リーパーみたいに複数の分解方法がある場合のみのほうがいいなあ、と思わないでもない。基本リーパーは飛角に弱いので頑張る意思を持てれば解けないことはないとは思う。思うのだが、実際に手を出すかと言うとまた別の話で、私も手をつけなかった。
でも説得力がないのは作るほうではこういうの出しちゃうんだよなあ。合駒もないし、駒移動は1回だけ、(1,3)リーパーはチェスでいえば同色マスしか通らないのから1枚の歩で直接王手ができるのは1回だけ、とか言い訳はあるんだけど。
Camel王などの同色マスしか通らないロイヤル駒に対して打った歩を2回以上動かしたい、という野望がちょっとある。たとえばグラスホッパーを使って直接王手>踏み台>直接王手でいいのだからなんとかなりそうなんだが難しい。大抵その前に詰む。
まあ”C”amel王(ローマ字で100、たくぼんさんは”C”arpファン)を使うのをノリでキメたのが実情。
作品に戻って、まあでも考えてみれば解けないわけではない。55飛、35柑、柑移動だけ読めば「上下対象解は余詰扱い」という慣習を使って裏読みすると飛車成と龍の斜めの効きを使うことが分かるので読まなければいけない手は相当に狭い。ただしそれは1番だけで、続く3題はそうもいかない。しかも桂香といった想定しにくい合駒まで出る。それはヒントを出すわけだ。
レトロ入門。でも私は今でも入門で嬉しい。王玉を同じ段にして香打しかないので方針は簡単。順算で持駒を相手に打たせるには「打って」「取らせて」「打たせる」3手なのでレトロはその逆順。とはいえ、17玉37王持駒香から4手進めたほうが早いだろう。
実は入門とはいえツイン。香がひっくり返っても4手かかる。香を手持ちにすれば香についての逆算は終わるので、後手の逆算は玉だけで2手必要。27が王と干渉するのでルートは16<26<17に限定されるという仕組み。
持駒にできる香を取って打つ解はどうなんだろう、というのは解説に同意。この解を除外するのはとても簡単で、上下反転して桂を飛車以外の適当な駒にすればよい。だから2解は作者の妥協ではなく選択の結果なのだろう。
でもnQが生きる2解目には価値がある。まあPWCでn駒なんだ、n駒が動いて王手が解除できない形を考えよう。11玉21Qだと必要な壁は22か23,32だ。斜対称も考えられるが、34飛が抑えられそうなのは32だ。そこまで考えれば容易に手順は決まる。
香はなぜn駒じゃないのだろう。n駒でも完全なのだ。まあでも駒を打つだけの6手の自玉詰で初形に合駒がない、ときたらn駒じゃない香を渡す、という初手はとてもわかり易くなる。
まあせっかくだからn香と読み替えて、それで考えよう。1枚目を取らせて、2枚めを打って、合駒して、3枚目を打ってなにかされて詰、となる。渡せる駒はn香かnQ。合駒請求するのもn香かnQ。じゃあ3枚目はn桂だ。
n桂を移動して成って両王手、なんてどうでしょう。49を塞ぐことを考えたら36n桂、48n桂成までだ。n桂に紐をつけるのは26nQしかない。合駒は35n香で、確かに詰んでいる。うん、解けた解けた。
これはタイミングが悪かっただけで、解いて楽しめる佳作だろう。
これも手がつけやすい。最後は28Q、同龍か同馬。不成が困るので先に成らせてておく必要がある。しかし角を成らせようとすると角の経路は59>37>28となる。Qが28に来るのは角が壁になって間に合わない。よって飛。ルートは28>29>28だ。これなら37Q>39Q>28QとQのルートも簡単に決まる。16を塞ぐのは飛車か角。2手で設置できて37Qとできるのは59Q、49角だけだ。やほう。
当時密かに誤解していた楽しい作品。玉の斜めに適当に駒を打てばよさそうなのだが飛車ではなく香の可能性が出てきたりして不詰となる。ポイントは2段目に飛車を可視化させること。可視化させた後に同Xと応じることで2枚目の透明駒で取ったことを確定させる。
鑑賞する分には楽しい。しかしきりん=(1,4)リーパーをロイヤル駒にするとは。愚者の旅というタイトルと、きりんの設定から11歩を取るのはきりん自身だろう。そのルートは99>85>91>52>11か実際の正解である斜対称ルートか。まあ斜対称ルートのほうが手をつなぎやすそうだ。その方針で11歩を取ることはできる。問題はそこからだ。12歩、22香、23成桂の効率がいいので11で詰むだろう。1段目はどうやって塞ごうか。きりんの紐つきの成桂、きりんのルートから45きりん、31成桂か51成桂。
……と考えると永遠に27手では詰まないのだ! 実際に解図の旅に出て、迷いに迷って解答を見れば、まさしくそれは愚者の旅だった、と言えるのではないか。愚者の旅をしていたのはきりんではなく正解にたどりつけなかった解図に取り組んだ方だ、というのは穿ちすぎか。
解答はなんと41成桂に91きりんだ! これで1段目が塞がれている。仮に41Qとすると、52と85が塞がって91に効いて、これはきりんが詰んでいる。打歩詰ではないので禁手なのだ。この旅に成功した方がいる、というのが凄い。賢者だ。
ロイヤルナイトを使ったと金はがし。ナイトがフリーになって歩2枚あれば詰む。しかしと金の壁があり、ロイヤル駒なのでナイトは触れられない。歩で1枚呼び出してから取る。騎がフリーになる前に歩が1枚になるので歩が2枚になるのは最後の2枚をばらしたとき。これが長手数を支える仕組み。
趣向的手順に入ってくれるのは100手以上先。15手目に打った歩が残ったまま追い回すのは見ていて不思議な感じがする序。
並べて割と楽しい作品なので、是非。部分図ではどうにもならないのでfmza+fmviewでどうぞ。