WFPを振り返る:102

WFP101号は(2,4)リーパー=ルート20リーパー自玉詰など。リーパーは近接王手など弱点も多いけれど効きが散らばっているのでやはり面倒感はある。推理将棋では短手数の都煙手順探索。さてさてWFP102号から。

初形からして面白いに決まっているがその期待を裏切らない。要は駒を取らせるとその駒が自駒になる、というわけでAndernachは呼び出して取らせるのが簡単なのだ。取らせる駒が玉ならまた転してしまうこともない。呼び出し剥がしならぬ呼び出しはがさせ。最後の成香でそのまま収束するのも決まっている。

合駒を取るのが難しいAndernachなので28歩を取りに行く。2筋の駒を取ると取った飛が受方の駒になって、その駒で飛を呼び出してまた攻方の駒に戻す。同じ駒種で繰り返しても十分おもしろいところ、この作品では取る駒種を変えて実現した。やさしい不規則趣向、と鑑賞するぶんには思ってしまうが序の迂回手順や生角のまま進める紛れにはまると大変なようだ。

飛角のどちらかはIsaradmでピンするしかないだろう。向かい合った飛車の間に角がはいるか、その逆か。ここから読み始めるとそこから考えれば99角88飛という組み合わせは浮かぶかもしれない。いずれにしても飛車も角も1枚ずつ取ってもらう必要がある。取る駒は玉じゃなかろうか。と考えれば32玉22角という王の縛り方も見えるかもしれない。過程が重なったがそこまで考えれば99角にあっさり玉をかわし、角を取らせる読みにくい序も見えるだろう。

大駒4枚で成立しているだけで立派だが、手順も面白い。

マキシは玉が斜めに行くを選ぶことが多い。つまり玉は斜めに3マス動く。22飛とか変な王手をかけなければ取られることも避けられる。手なりで並べても14まで追って龍銀で詰ます手順は見つけやすいだろう。個人的にはマキシはもっと強いロイヤル駒で動かしたほうが面白いかも、という感覚がある。天竺ルールを使って上田吉一氏が実例を見せてくれている。

わずか3枚! のこの図を引用しておこう。飛車も動く、というか動かさないと詰まない。

飛車を打って合駒してGを打って合駒しつつ王を発生させて詰。というのは厳密には正しくなくて、王自身が合駒の役目を果たしていれば4手目の駒打ちはどこでもいい。飛車の効きはGに遮られるのでわりと自由に2枚の受駒を置ける。まあでも王を含めて5枚駒が発生するなら41-45か56-96にアタリをつけたい。そうすればめでたく金王飛玉の形がみつかるはずだ。

駒>Orpahn>Orphanの連鎖を実現した作品。Orpahn単騎で詰ませるのは難しいので駒を取って打つしかない。しかしOrphan+αで詰むってなんだろう。とりあえず駒をもらう方法を考えよう。14谺では無理なので1段目から。合駒を取っても龍がいるので王手が続く。しかし12を埋めて詰ます方法が浮かばない……あ、打つのは飛車しかないか。じゃあ41谺、31龍、同谺で、5手目は飛車打だ。4手目普通に21合は1x飛に12合で困る。じゃあ32合か33合、でもやっぱり12合があるし21も空く。

ここで気づく。42谺は何をしているんだ? 3手目の時点で34龍>31谺>42谺のルートで龍の効きになっている。これを33に動かすと……!? 13飛で、飛>33谺>31谺と連鎖して両王手だ! 12と伝達ルートのどこか、両方に合駒を打つことはできないので詰みだ! 考え始めれば楽しく解ける嬉しい啓蒙作品。

9×9の将棋盤はナイトライダーには狭い! という大発明。超巨大盤ならナイトライダー単騎で玉を追い回すことが可能なのだ! 未だにわかっていないのが、唯一解になる理屈。もっともっと遠くにナイトライダーを打てばどうにでもなりそうなのだけれど、実際にはあっても(かなり小さな)有限個の解しかないらしい。

とずっと考えていたが、逆算を考えれば有限個しかなくて当たり前か。そもそもその説明が35ページにあるじゃないか! 具体的には、ナイトライダーが直射しない2地点両方にナイトライダーの効きが届くマスは有限個しかない、ということになる。なんでそうなるか、というとナイトライダーの効きが8方向の有限個だからだ。

駒1,駒2両方に効きがあるNrの位置を考える。まず駒1に効くようにしよう。駒1のナイトの効きの8マスのどこかにNrを仮置きし、遠ざけていく(1)。残りの7方向のNrの効きは駒2に高々一回だけ届く。つまり最大7通りのNrの位置が得られる(2)。

(1)で8通り、(2)で7通りの配置があるので最大でも56マスしかそのようなマスはない。よって玉の移動によって逆算していってもNrのマスの候補は有限の個数に絞られる。ほほーようやく理解できた。ほくほく。

この作品の場合は左下無限大盤なので考えるべきNrのラインはもっと少ない。

解答の数でのお遊びは2001年に2001解がある。手順が面白くない、という問題を置いておけば裸玉もできる。31玉、持駒金銀歩。どういう図で出題するのがいいのか、審美眼が問われるレギュレーション。とりこぼしなく解答するのは割と難しかったりもする。