WFPを振り返る:105

WFP105号から。

 このブログでは2回目のImitator。発表を重ねるに応じて作意も凄いものになっている。imitatorの可動域が極小なので35飛の初手はともかく2手目の応手が57桂! 楽しんでいていいなー、とは思うけれど遠くの島を眺めているような感覚。

 フェアリーは自由だ、の例。目的が両王手。それを作品化しようとする発想が凄い。両王手でパズルというか基礎知識になってしまったものだが、実戦初形からの両王手は最短9手。詰む両王手は10手。

 変わった駒シリーズ。Locust同様駒を取るときしか動けない鬼。しかし取れる駒は一番近い任意の駒。変なの。鬼の王手には鬼を取る以外に玉より近い位置に駒を寄せる、玉を遠ざけるという受けがある。つまり鬼の近くに駒を発生させられるわけだ。初手鬼打ち、3手目駒取り、5手目駒打ちが自明なので解けないことはないと思う。というかやさしい。
 変な技を使う暇はないので6手目は同xだろう。玉は自玉を詰めるのに役に立たないので角2枚で詰める。ふむ、16王17鬼しか配置がない。あとは自明だろう。

 鬼は便利そうだがどこまでも合駒が効くので鬼だけで詰めることはできない。基本形は紐付きの縦か横に隣接した鬼。逆に鬼で紐をつけた頭金とかか。鬼は石黒氏(おそらく石黒誠一氏)の発案の駒だそうな。

 こんな図を思いついた。

 nは分かるが手順全てを挙げるのはそんなに簡単じゃない、というか計算が面倒なので求めてません。

 半開放型の不定形な密室、キーの96歩のさりげなさ。玉の稼働範囲が8、9段目だけなので歩は打つだけ。なので解くのは割とお散歩気分で楽しめる。今からでも解いてみませんか。

 受方が抵抗する自玉詰なのに無防備。28飛、39玉に49馬からいきなり合駒を強制できる。金歩は49>48>38>28と呼び出して早い。角は斜め後ろに効くので39>28。銀だと49経由だと不成で応じられ、39経由となるが成ることで斜め後ろの効きを失って抵抗できる。かくして銀の翻弄手順が成り立っていてお見事。

 15玉に55飛で合駒請求。安易な合駒は16歩で終わる。斜めの駒を渡す直近の延命と、23に効きを通す先を見た延命で逆王手3連合が成立する。理屈が通っていて好きな作品だが、形式的にタスクものと考えてしまうと伝統ルールで逆王手5連合の「バーフバリ」がある。フェアリーに移植できるのかしら。